怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
そう言って、男は体から鎖を生み出した。
何本もの鎖が征志郎の方へと飛んでいく。
あれはどういう原理で動いているのか。
体から鎖を出している姿はまるで化け物だ。
征志郎
「へへ、そんな弱え武器でここに攻めてきやがったのか!」
それを征志郎は易々と躱していた。
さすが柊と言ったところだろう。
でも鎖に集中しているせいで、周りに意識が向いていない。
最大のチャンスがやってきた。
「…行こうかな」
今、征志郎を見ているのは深夜とグレンの2人。
常に視線を集める征志郎を殺すにはこの混乱に乗じるのが1番いい。
そう瞬時に判断してからの私の行動は早かった。
懐から鉄扇を取り出して仕込み刃を露出させ、鉄扇に呪詛をかけて強化する。
「………」
準備はできた。
でもすぐには行かずに、今の戦況を確認する。
黒スーツの男
「………」
次々と躱されているのにも関わらず、笑っているスーツの男。
彼はまだ本気を出していないのかもしれない。
そんな疑惑があっても、私は悩まなかった。
どちらにせよ私がこの手で殺さなくてはいけないからだ。
「…よし」
自分を勇気づけるように呟いてから、私は駆け出す。
目指すは柊 征志郎ただ1人。
黒スーツの男
「はい、チェックメイト。傲慢さで死にましたって天国で神様に報告しなよ」
そして征志郎の元へ向かっていた時、突然状況が変わった。