怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
「………」
否定はできなかった。
なぜなら、私は深夜の言う通り絶対に助けに入ったと思うからだ。
深夜
「さすがにそこまでしたら愛梨ちゃんも一瀬と同じ扱いになるだろうし、いなくて良かったって思ったんだよ」
確かにそうなるともう取り返しがつかない。
柊に接触する事も厳しくなっていたはずだ。
深夜
「愛梨ちゃんって冷めてるように見えて、意外と悪質な事は許せないタイプだよね」
「意外とはいらないでしょ」
深夜
「いやー、絶対に意外だって」
深夜は私をどんな人間だと思っていたのだろうか。
気になるが、何を言われても腹が立ちそうなので敢えて聞かない事にした。
*****
それから2日目の試合が始まった。
順調に勝ち進んでいく9組の試合を私達は特に見ていない。
深夜
「あ」
どうでもいいような会話をしながら自分の出番を待っていた時、突然深夜がどこかを見て声を漏らした。
視線を追いかけるとそこにはグレンの姿がある。
「グレンがどうしたの?」
深夜
「ちょっと用があるんだよ」
「そっか。行ってくる?」
深夜
「行きたくないけどね」
そう言って深夜はグレンの方へと歩いて行った。
この距離では何を言っているのか聞こえないので、2人の表情を観察する。
「…?」
深夜の表情はかなり冷たかった。
それはわかるのだが、なぜかグレンは苦笑を浮かべている。