怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第7章 選抜術式試験
グレンは防戦一方で、最後の方には試合場内を必死に逃げ惑っていたのだ。
だが、たまたま放った一撃によって相手が気絶したので勝利を得た。
五士
「お前、ほんっと弱ぇのな」
美十
「そんな力で雪見さんを従えて恥ずかしくないのですか?従者達に担がれる者として努力しようとは思わないのですか!」
その試合に不満を持ったクラスメイトや、五士達がグレンへと批難をあびせている。
見ていられないと思う程に酷い光景だ。
グレン
「あはは…」
「………」
それでもヘラヘラと笑い続けるグレン。
この状況でも笑っているグレンをこれ以上見続ける事はできず、私は校舎へと向かい始めた。
深夜
「あれ、どこ行くの?」
そんな私を深夜が不審がって呼び止める。
「私の試合は終わったし、もう見てられないから帰る」
深夜
「あは、サボるって悪い子だなー」
楽しそうに笑っている深夜は最後まで見ていくようだ。
こんな試合を見て何が楽しいのだろうか。
「もし何か言われたら担任に上手く説明しておいて」
深夜
「こういう時は僕を頼るんだ?」
「だってもう深夜と仲がいいって勘違いされてるし、深夜が言う事なら嘘でも否定できないでしょ?」
深夜との関係も実際は全く仲良くなんてないのだが、利用できるのなら利用するべきだ。
だからそう頼んで私は演習場を後にした。