第11章 ここからが本番
振り向くと、キバナとカガリがいた。
恐らく、いつまでも来ない私を不思議に思ったんだろう
「あ〜!!キバニャとカガリだあ!!」
目の前の男の子は後ろの二人をみてキャッキャと喜んだ
「ボク、そんなに知られてるんですか?」
「そうらしいな。おーボウズ、オレさまは?」
キバナが、私の床に付いていた髪を背中に払った後、しゃがんで男の子に聞いた
「キバニャね、かっこいいからすき!!」
男の子の後ろで、お母さんが、ほら、迷惑になっちゃうからもういいでしょ?と言うと、気にしないでください。と、私とキバナ、カガリの声が重なる
「なあ、オレのサインはいらねーの?」
「え!いいの!?やったあ〜!!」
男の子は純粋な笑顔でまたもやカバンから色紙を取り出した
今度は2枚
「カガリさんも!!」
「ボクですか?」
カガリは気だるそうな返事をしながらも、嬉しそうな顔でサインをかく
「どうぞ」
「ほらよ、ランタナ」
「ありがとう〜っっ!!」
見てみてお母さん!!と、3枚の色紙を掲げながら飛び跳ねる男の子を見ていると、なんだか胸が温まってくる
「すみません、ご迷惑おかけして……忙しいでしょうに」
「いいんですよ〜!!どうせ暇なので!」
「そうっすよ。気にしないでください」
それじゃあ、と手を振って立ち去ろうとすると、まって!!と声がかけられる
「ボク!しょうらい、マイさんとけっこんするから!」
思わず3人で顔を見合わせる
「ありがとね」
緩い返事を返す私に対して、キバナとカガリは妙に真剣な顔をしていた
「悪いがなァボウズ!マイを嫁にするのはオレさまだぜ?」
その瞬間、レストランの中が歓声で湧いた