第18章 出会い⦅過去編①⦆
マイside
いつものようにお家でお留守番していたある日の事だった。
突然、家とお隣のお家を分ける木材の塀に、トントン、と誰かがノックした。
「えっ、……??」
家に誰かが訪れるなんて初めての事でどうしたらいいのかわからない。
おじいちゃんからだって、今日は誰か来るとかも一切聞いていない。
でも……大切な用事だったらどうしよう……。
「こん」
「あっ、……ロコン……」
栗色の瞳を輝かせて私の手を尻尾で引くロコン。
私はその力に負けて、塀の傍に寄った。
「……あの…。」
コンコン、と控えめに塀を叩きながら、絞り出したような小さな声をだす。
すると、向こう側から、おっ!という男の子の声が聞こえたと思いきや、今度は塀の上から、よお!という言葉がかけられた。
「えっ……と…」
「なあ!こっちこいよ!!」
これが彼との初めての出会い。