第11章 ここからが本番
「どうしたの〜?今日は甘えん坊さんだね〜」
「ゼルッ」
シャワールームへ続く扉が開くと、中からタオルを被ったマイとトドゼルガが出てくる
もわっと湯気が溢れ出すと、オレ達の耳元に温かい風がふいた
マイ、着替え持ってきてたのか…あれ、あんな紺とオレンジのスポブラマイ持ってたっけ…いや、オレが見てないだけで持ってたんだろうな。きっと。変態臭い事は考えないでおこう
「マイ、髪拭いてやろーか?」
「あ、ほんと?ありがと〜」
マイをベンチに座らせてオレが後ろからタオルで濡れた髪を拭く
仄かに香るシャンプーの匂いが鼻腔を擽る
風呂上がり特有の若干赤みがかった肌に思わず息を飲む
やましい事は考えないようにしながら、ぽんぽんと優しくマイの髪の水気を切る
雲のような柔らかい髪を傷つけないように。
横目でネズを見ると、マジかよって目でオレを見てた
オレはそれにべっと舌を出してドヤ顔をする
「なあ、マイ?次の相手は誰なんだ?」
「うんとね〜……マサル君って子。ダンデが推薦状渡したもう一人の子かな」
「あの人……ヤべーですよ」
「そうなの?」
ネズがゾッとしたような顔で言った
ネズがそんな事言ってんの初めて聞いたなあ〜
どんな奴なんだろ。早く戦いてーなあ…
まあ、マイがここを通せばだけどな
「マイ、次の試合まで1時間を切っているようですが」
「えっ嘘!?キバナぁ、急げる?」
「おうよ。ほら出来た」
もともとこの作業には慣れてたしな。
なんてったってオレさまは子供の頃からマイの髪拭いてんだぜ?
「ありがとっ!!じゃあね!」
マイは慌てた様子でジャケットを羽織り、グレイシアとトドゼルガとトレーニングルームを出て行った