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【ポケモン】溶けるような恋がしたい

第11章 ここからが本番





「フブキ、観客はどう?」

「もう満席に等しいですよ。チャレンジャーが一人控え室に到着しているので…一時間後から開始でいいですか?」

「うん」

たったっ、と慣れた様子でタッチパネルを操作するフブキと客席の状態を見ていると、フブキが思い出したようにカウンターの下を漁った


「これ、置きっぱなしでしたよ」

「あ〜!ありがと〜っ」


取り出されたのはクッキーの入ったカゴ2つ

さすがフブキ。気が利く


「ん……まだあったかい…。キバナってどこにいるの?」

「あ〜、あそこに」


フブキがさした先を見ると、確かにキバナがソファーに座っていた


「私、これからアップしたいの……だからフブキ、試合が終わったあとでもなんでもいいの、キバナに渡してくれる?」

「あっ、はあい」


自分で渡せばいいのに、なんて口が裂けても言えないフブキであった。何故かと言うと、バトル後のマイはモチベーションとテンションが最大まで上がっているので何を仕出かすかわからない


「じゃあ、よろしくねっ」


私は結局フブキにクッキーを預けてその場を後にした。




その足のまま私が向かったのはトレーニングルーム


適度に体を動かす事で緊張を和らげたり、集中力をあげるため。

あとはポケモン達の状態の確認


そんな事をしていたら、開始まであと30分をきっていた。


「そろそろ行かないと」


ルームのドアを開けると、目の前に見慣れたパーカーが立ち塞がっていた


「なにしてるの?」

「よっ、マイ」


キバナはへにゃあ、と締りのない笑顔で私に笑いかけた


「なに?なんか用?」

「いいや、別に?……マイ、首になんかついてるぞ」


私が通路に出てドアを閉めると、キバナが気づいたように私の首に触れた

そして、自身のパーカーの袖でゴシゴシと拭ったあと、不思議そうな顔をした


「この紫……どっかで見た事あるな」

「そうなの?よくわからないけど、私もう行くから。じゃあね」

「おー」


訝しげなキバナを背に、私は控え室へ向かった






キバナside


マイは、試合の前になるとなんとなく素っ気なくなる。

まあ、そんなところもオレさまは好きなんだけどな?


それより、マイの首についていたモノの事だ。

これは明らかにネズのアイシャドウ……

……まさか、な?

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