第11章 ここからが本番
マイがウインディのたてがみをポンポンと叩くと、勢いよく走り出す
「うわっ」
オレが思わず声をあげると、マイは楽しそうに笑った
ノイジーな吹雪の音に混ざって聞こえる彼女の声と彼女の鼓動
もっと聞きたい、なんてオレらしくないですね
鼻腔を擽る彼女の匂いと時折見える項に理性がゆっくりとすり減っていく
キバナ……おまえ、こんな最高の女性を独り占めしてるなんて妬けますよ
誰も見ていないから、少しだけ。と、額を彼女の肩に置いてみる
すると、彼女は、あれ?ネズ寝ちゃった?なんて、耳障りの良い声でオレに聞く
ゆっさ、ゆっさとウインディの背中に揺られていると、彼女の異変に気づく
「ネ、ネズ…??擽ったいんだけど」
消え入りそうな声と少しだけ不自然な呼吸
耳が良いオレは、呼吸と一緒に吐かれる小さな声も聞き逃さなかった
「…なんですか?」
「その……手が、擽ったいなって……」
ふと、自分がマイの腰に回した手を見る
「……っ!!すみません、」
自分でも驚いた
ウインディに揺られているうちに、オレの手はいつの間にかマイの下腹部の方へ下がっていたのだ
「い、いいよ、大丈夫」
普通ビンタでもなんでもしそうなシチュエーション。にも関わらず、おおらかに許してくれるのは、オレのことを信頼してくれている証拠だ。
「以後気をつけます」
お互いに紅潮した顔を隠すように俯いた。
このことがキバナにバレないといいんですけどね……