第10章 ジムチャレンジ開会式
「師範っ!!!」
「?」
今、カガリの声がしたような……
でも居ないし…気のせいかな?
「マイ、どうしたの?」
「いや、カガリに呼ばれた気がして……」
「師範!!待ってください!!」
やっぱり聞こえる!
キョロキョロと辺りを見回していると、例の人集りから女の子をかき分けてこちらに向かってくるカガリが目に入った
「や〜ん!!カガリくーん!!」
「素敵ね〜っ!!」
目がハートになっている女の子達が見据えているのは、明らかにカガリ
「師範!」
必死に私を呼ぶカガリに私は吹き出してしまう。
何故って、いつも身嗜みを気にするカガリが、女の子にもみくちゃにされて、ボロボロになっていたからだ。
髪はボサボサ、ジャケットを引っ張られたのか中に着ているTシャツが出ていて、オマケに頬や額や手の甲やらに口紅のマークがついていた。
「っふふ、ん、カガリ、どうしたの??っっんふ」
笑いを堪えながらカガリに聞くと、不機嫌そうな返事が返ってくる
「どうしたって、、助けてくださいよ!なんで僕が女の子に囲まれるんですか!今朝まで何ともなかったのに!!」
「いいじゃん。モテモテだよ?」
数ヶ月前まで私と同じくらいだった目線は、いつのまにか見上げる位置にあって、カガリが成長したのだと感じる
「良くないですよ!どこに行くにもついてくるんです!困ります!!」
「うーん、女の子が来ないようにすればいいんだよね?」