第9章 師弟+α
「オレと……その…」
喉まで出かかった言葉
伝えたくて仕方がない言葉なのに、どうしても詰まってしまう。
「キバナ?」
鈴の音がなるような綺麗な声
バトルの時は一変して大声を出すのに、どうして枯れないんだろう
「マイ、オレと……」
「うん」
不思議そうに相槌を打つマイ
「オレと……!!!つ、つき……!!!」
声が震える
付き合ってくれないか。
頭の中では何万回とリピートできるのに、どうして声に出せないんだ
「つ、つつ、つき!!!」
腹を括れキバナ!!
オレさまなら言えるはずだ!!
「つっ、月の石!!!取りに行こうぜ!!」
ーーーッッ!!!!
なんで言えねえんだよ!!!
月の石って!!
「月の石?」
ほら!マイもますます不思議そうな顔してんじゃねえか!!
まじかよ〜ッ!!!キバナ!!お前はそれでいいのか!!
「月の石……あっ、ムシャーナが欲しいの?」
マイは閃いたような表情を見せた
いや!!可愛すぎんだろ〜〜ッッ!!!
衝動的にオレは近くに積もっていた雪の中にダイブした
……冷てえ……頭を冷やすには丁度いいかもな
「キバナ??風邪ひくよ?起きて」
ゆさゆさとオレの体を揺さぶる
マイ……オレ、本当は月の石なんかいらねえんだよ……
オレが本当に欲しいものはマイ自身なんだぜ……??
マイの全てが欲しいんだ……心も、体も……
でも、オレが本当に1番望むのは、お前の幸せだから、
マイの気持ちが聞けるその日まで、このキバナさまが待っててやるよ。