第9章 師弟+α
「は、はあっ、あーっ、……」
スパイクジムから走って来たものの、いざ告白するとなると緊張するな……
それに、この雪山、登頂できる気がしねえ……
いつもならマイのマンムーが乗せてくれるから楽に行けたけどよ……
どうしたものか、と山を見上げていると、高台の岩の上に座るマイが目に入った。
一か八か、オレはマイに大きく手を振って見せた。
「お、気づいたな。」
マイはオレに手を振り返す。どうやら気づいたようだ。
するとマイは、岩の上から降りて、真っ白な急な斜面を加工もなにもされていないショートブーツで滑走しはじめた。
慣れた様子で雪を切っていく姿に、オレの心は高鳴った
いつも何も無い所ですっ転んだり、変な間違いばっかすんのに、こんなこともできたんだ、とギャップ萌えというものを感じる
「キバナ〜!!どうしたの〜!!」
柔らかいふにゃっとした笑顔でこちらに駆け寄ってくるマイ
走る度に後ろでふわりと揺れる髪は日光に反射してすごく綺麗だ。
「お〜マイ〜!!」
オレも笑顔でマイに呼びかける
「んで?どうしたの?」
オレのすぐそばまで近寄ったマイ。
オレとの距離、僅か30cm
「あのな、マイ……」
「ん?」
真剣にオレの話を聞くマイの、その瞳にじっと見つめられてドキドキする
透き通るような紫の瞳に長く白いまつ毛
ニッコリと弧を描く薄い唇に噛みつきたくて堪らない。
「あの、な……??」
無意識に近づいてしまう顔に自制するため、マイの両肩をガシッと掴んだ