第9章 師弟+α
私が今座っているのは、ウェルズ山の迷路が一望できる高台の大きな岩の上
道に迷って右往左往するチャレンジャーを見ることができる最高のスポットだ。
ここで何をしているのかというと、迷路の中でニューラ捕獲に苦しんでいるカガリを私のポケモン達と見守っている。
「…!ネズからだ!……へぇ、今日のバトルはキバナに勝ったんだ……"おめでとう!お祝いにマリルパーティーする?"っと……」
ピロンっとスマホから着信が鳴る
メッセージの送り主はネズで、内容はキバナに勝ったというものだった。
お祝いにと、マリルパーティーに誘ってみる。
けれど、返信は案の定、"遠慮しておきます。"
「グレッ」
「ん?どうしたの?……あっ、カガリ転んだ。馬鹿だなあ、もう……キュウコン、見てきてくれる?」
「コン」
キュウコンは、あたかも、面倒くさい……というように渋々起き上がって岩場を下って行った
それにしても、今日はいい天気だなあ。
珍しく晴れてるし…雪も溶けちゃうかもなあ……
「あれ、……キバナ??……」
ふと目を寄越した山の麓。
そこには、見慣れたオレンジのバンダナに、高身長で褐色肌の男性がこちらに向かって手を振っていた。
いやいやいやいや、まさかね。
だって、ネズとの試合が終わったのはついさっきだし……
「……あー…行ってみるか……」
カガリはキュウコンに任せてあるし、大丈夫だよね。
「みんな、ここで待ってて?」
「グレッ!!」
「ワヴッ!!」
「ガウウ!!」
雪原の上でくつろぐポケモン達にそう呼びかけると元気に返事を返した