第8章 ワイルドエリア
キバナside
「ふーん…」
マイは悪くない。
そう分かっているのに、不機嫌な態度が出てしまう
「ねえ、キバナ……」
悲しそうなマイの顔が視界の端に映った
ごめんな、素直じゃなくて
ダンデとマイが付き合ってないのなんかわかりきってる
けど、なんとなく、こう、腹の中で嫌な感情が渦巻いていくんだ
忌まわしい、醜い感情が。
「ねえ、ごめんね」
「…は?」
思ってもいなかった言葉がオレに向けられ、思わず間抜けな声が出た
「なんでマイが謝んだよ」
「だって、昨日…キバナ、トーナメント戦でダンデに負けてたでしょ……??」
本当に申し訳ないというような表情でマイはオレの目をジッと見る
マイの瞳は涙ぐんでいて、オレの背徳心を煽った。
いや…別にダンデに負けたことはそれほど気にしてはいなかったんだが……
「あのな、マ……」
オレが口を開いた刹那、ミロカロ湖から轟音が響いた
あそこにはカガリが、いるかもわからないドジョッチを捕まえに行ってる筈…
もしダイマックスポケモンに遭遇してるのだとしたら危険だ
「キバナ!!!」
「おう!!!」
マイに呼ばれ走り出す。
間に合え!!間に合ってくれ!!
そう心の中で切に願いながらオレたちはカガリのもとへ向かった