第2章 悪戯心
戦いが終わってもうすぐ1時間
なのにマイの周りには未だに多くの人が群がっている
その殆どはオッサンや写真を求める女の子
フィールドの整備が終わったキュウコンはマイへのプレゼントの数々を器用に尻尾で持っている
「きゃーっ!!ねぇねぇ、あの人ってキバナさんじゃない!?」
「やだーっ彼女の試合見に来たのーっ!?」
いや、彼女じゃねえし
俺が勝手に想ってるだけだから。
「あっ、キバナーー!!!」
女の子達の声に気づいたのかマイはこちらを見て手を振った
俺も手を振り返すが、手を振るマイの表情は何となく助けを求めているような表情だったので観客席を降りバックスクリーンを飛び越えマイとファンのもとへ向かう
「よお、大人気じゃん。記念に撮るか?」
俺はマイの返事を聞く前にファンをバックにしてマイの肩を抱き愛用のロトムスマホで写真をとった
「もうキバナっ、すぐ写真撮らないでよ」
「いいじゃん〜、あ、俺にもレアカードくれよ。新しくしたんだろ?」
「やだ。キバナはだーめ」
「はあ?なんでだよ」
会話をする間にも彼女の手から俺の手へプレゼントの袋を移していく
戦いに熱くなりすぎたマイはジャケットを着てないので腕には袋の紐の跡がついていた
「だって、あれ…、、駄目!キバナには見て欲しくないの!」
そう言ってマイは自身のカードが入っているポケットを抑えた
「へえ、オレさまに対抗すんのか」
オレはそう言ってマイの頬を両手で包んだ
「へ、あっ、、」
驚いて間抜けな声をあげたマイに俺は思わず吹き出す
「ッッくっ、ははっ!!!なんだよその声!!」
「っちょっ、笑わないでよっ」
マイはもう!と言って再びファンの方を向いた
「マイっ!!レアカード頂戴!!」
「マイちゃん!!サインくれないかな!!」
「はーいっ!ちょっと待ってくださいねっ」
「マイ〜!キバナさんとラブラブね!!」
マイヘ向けた数々のファンの言葉の中で、俺としても聞き逃せない言葉が飛んだ