第2章 悪戯心
ウェルズスタジアムには雪山にも関わらず多くの人が訪れる
俺はいつものようにマイのジム戦を見に来ていた
要するに練習試合だ。
なので、勝ってもバッジは貰えない
「残念だったね。次頑張ろ?……ここで待ってるから」
マイのチャレンジャーへ向けた勝利の一言で観客がドっと湧いた
今日だけでこのセリフを聞いたのは5回目だ
…いつになったらチャレンジャー勝たせる気だよ
「皆さん!!本日はお越しいただきありがとうございました!!楽しんで頂けましたか?」
チャレンジャーが退場すると、マイは律儀にファンへの感謝の言葉を口にする
観客もマイの言葉に応えるように歓声を上げた
「午前の部はこれにて終了!!午後は14時から!!お時間がありましたら是非見に来てくださいね!」
モニターに映し出されたマイの表情は本当に嬉しそうで観客席で見てる俺も思わず頬が緩む
暫くしてマイが入場口に合図を送るとフィールドにあるポケモンが放たれる
そのポケモンとはマイのパートナーのキュウコンで戦いによって作られた氷や雪をとかすサポートをしている
その間マイはフィールドの端に避けるのだが……マイの熱烈なファン達は、マイへサインを求めたりプレゼントを送ったりする
「マイっ!!!これ受け取って!!」
「マイーー!!サインして!!」
「レアカード頂戴!!!」
レアカードなんて見るだけでも珍しい物も簡単にプレゼントしてしまうのだから大したものだ
大勢の人を相手にするマイの両手には大量のプレゼントの袋が吊り下げられ、片方の手にはマイの背丈以上ある大きな包みが抱えられていた