第3章 試合の後は
「私すごく感動しました!!愛する人を想うって本当に綺麗で素敵!!」
「俺もだよ!なんというか、こう、真実の愛ってのを感じた!!」
粉雪が降る中、各々白い息を吐きながら私に話す
「え、、こんなに寒い中ずっと待っていたの……?」
「ええ!そうよ!!この気持ちを伝えないと私達の気が済まないの!!」
「僕は君を尊敬する!!アレは到底出来るものじゃないよ!」
ニコニコと私に笑顔でいてくれるファンに目頭が熱くなってくる
「もう!泣きそうな顔も可愛いのね!!さあ!」
一人の女性の掛け声を気に、私はズイズイと背中を押され前に進んで行く
「え?ちょ、なに?……あ…」
「よお、マイ」
背中を押された先にいたのは悩みの種の一因でもあったキバナだった
「何しょげてんだよ。ほら帰るぞ」
「…うん」
キバナは私の手を握ると優しくニッと笑ってくれた
「驚いたぜ?」
「……え?」
帰り道の途中、キバナがいきなり言い出したので思わず間抜けな声が出た
「お前、普段全然怒んないからさ。オレ、マイが怒鳴ったの見て驚いた」
「そう?…ていうか、キバナ見に来てたの?」
「ははっ、まあな」
少し照れくさそうに笑ったキバナは、それと…と言葉を続けた
「結構恥ずかしかったんだぜ?会場からでた途端にお前のファンに囲まれるし、ロビーうろついてたキュウコンには尻尾で茶化されるしよ」
「えっ、キュウコンそんな事してたの」
ボールの中にいるキュウコンにそう問うと返事をするようにボールが少し震えた