第3章 試合の後は
「ごめんね?送ってもらって」
「気にすんな、ポケモンやオッサンに襲われたら戦えないだろ?」
私の住むウェルズマンションの前にて、キバナは私の頭を撫でた
……ポケモンが襲ってくるのは分かるけど、オッサンは襲ってこないでしょ…
「あ、オレさ」
キバナはそう言って私の方へ振り返った
「オレ…マイがオレの為に怒鳴った時、素直に嬉しかったぜ?」
「あ、…うん。」
キバナはいつもの笑顔で私に笑い掛けたが、私の心の中ではそれどころでは無かった
いや、カッコよすぎる
その笑顔は反則だ
嬉しかったなんて滅相もない
あー、もう、今なら死んでも悔いはない
「じゃあな」
「うん。気をつけてね」
私が手を振るとキバナもヒラヒラと手を振り返してくれた
「あ、あと」
キバナが1歩踏み出した所で思い出したように口を開いた
「オレサマ、お前と彼氏彼女言われてんの嫌じゃないから。むしろ好き」
「え……あ、へ?」
「それじゃ、おやすみ」
それは、どう捉えれば……!?
心臓がバクバクしてそのまま爆発しそうだ
嫌じゃない?むしろ好き?
むしろ好きって言うのは、どちらかというと嫌いか好きかで問われた時に出る好き?
それとも恋愛的な意味……?
「……もっ、無理っ」
キバナと繋いでいた右手がまだ熱い