第3章 試合の後は
「あっ、はあっ、っ、」
キバナはどうせ私を子供だと思ってる
だから私の事を揶揄ったりするのだ
異性として見られているかも危うい
「っふ、っ、は、はあ、」
時速を示すメーターは既に10kmを優に超えていた
私は徐々に時速を落としていく
「っ、はーっ、、あー、、」
終了ボタンを押す
「……諦めた方が…いいのかな」
タオルで汗を拭きながらベンチに腰掛ける
キバナはかっこいいし強いから、狙っている女性は多いだろう
それに、こんなに直ぐ腹を立てる私は釣り合いそうにない
キバナだって彼氏彼女と呼ばれて迷惑だろう
「諦める」
今までに何度も自分に言い放った言葉
「のは……ちょっと無理かな」
……自分に言い聞かせても尚諦められない私は、彼の事が好きで堪らないようだ。
きゅぽ、と音を立てて開いた水筒に口を付け一気においしい水を飲み干す
「……はあ……」
心拍数が落ち着いた頃私は汗を洗い流すためシャワールームへ向かった
「はあ……」
優しく温かなお湯に打たれると不思議と心が安らいだ
それは今までの不安を流し去るような感覚で、シャワルームから出る時には、やってしまった事は取り消しは出来ない。でも間違った事はしていない。と思える事ができた
ウェルズジムから出ると私は多くの人に囲まれた
批判を受ける。……そう思っていたが私を囲む人達の表情はすごくキラキラしていて批判なんてものとは掛け離れていた