第3章 試合の後は
「ああっ、もう!!!」
ガシャン!!
手荒くベンチプレスのバーベルを頭上に置くと思ったより大きい音がした
「はあ……は…」
ここはウェルズジムの一角にあるトレーニングルーム
時間の流れというのは速いもので閉じこもってから早4時間。
もうすぐ日が暮れる時間だ
そういえば……と、周りを見渡す
いつもはもっと人が居るはずなのに今日は誰もいない。
試合が終わって早々靴を履き替えて来たけど皆退散するの早くない?
恐らく私の試合を見て気を使ったのだろう
「あー、……情けない」
私は起き上がりトレッドミルに手を掛けた
どれをやっても心は晴れない
でも、無心になってできると言えばこれだ
スイッチを押し、時間が経つに連れて加速するモードに設定する
私のSNSは今頃どうなっているだろう
炎上……していなければいいが
「……はぁ」
漏れでるため息はとどまることを知らない
流石にやり過ぎてしまった
キュウコンのレベルは初心者が到底追い付くものでもないのに
あんなのゴリ押しで勝ったような物だ。
それに私はこおりタイプのジムリーダーだ
返り討ちにするならこおりタイプですれば良かったものを…
大人げ無いな……
キバナにも迷惑かけちゃったかな…
あのとき頭に血が昇ってて余計な事言ったし……嫌われてたらどうしよう
そもそもキバナは彼氏じゃないのに。
勿論私はキバナを好きな訳なのだけど…
「〜〜ッ……はぁぁぁぁ……」
加速するベルトに合わせて呼吸と足を速める