第12章 波乱のジムチャレンジ
さて、この後の時間はどうしようかな
どうせ暇になってしまったし、大人しく控え室で試合観戦といくか…………
「やっぱりマサル君強いなあ……」
私が見ている試合は、マサル君とサイトウちゃんの試合。
いつもならサイトウちゃんが当然のように勝ち進んで、キバナやダンデに挑むトーナメント
だけど、今は彼女が苦戦している
ガラル空手の申し子と呼ばれる程の彼女が、新参者の若いチャレンジャーに。
すごいなあ。なんて、自販機で買ったおいしい水を啜りながら考えているうちに控え室のドアが開いた
「あ、マイ!お疲れ様〜」
「ルリナちゃん」
出てきたのはルリナちゃん
ルリナちゃんは、二連戦大変だったでしょ?と言って私にミックスオレを渡した
私はそれをありがとう、とお礼を言って受け取る
いいのよ、とルリナちゃんが返すと彼女は私の隣に座った
「…最近、どうなの?アイツとは」
「どうって、何もないよ。ホントに」
私と彼女の定番の話題
いつも同じ質問に同じ答えだけど、ずっとそれを続けてる。
多分、私がキバナの事を諦めさせない為だと思う
「もう、早く伝えなさいよ。アイツに彼女ができたらどうするワケ?」
呆れたような表情で言った彼女に、乾いた笑みを浮かべた
「言えないよお…そんなコト……。それに、キバナに彼女が出来たら何も出来ない…おめでとう、としか言えないかな、」
文末にいくに連れて小さくなっていく声に自分でも情けなくなる
けど彼女は、マイらしい答えね。と笑った