第7章 上田城での騒動
「………」
触れるだけのキスをしてすぐに唇を離した雪乃。
目元は見えないが、小太郎の視線を間近に感じているようで居たたまれない。
「…もう終わりか?」
「い、言われた通りにしたじゃないですか…」
「そうだな……だが俺はまだ満足していない」
「え…?」
そう聞き返した瞬間、一瞬体が宙を浮く。
次に気付いた時には、胡座をかいた小太郎の脚の間に座らされていた。
「こ、小太郎さっ…」
再び唇を重ねられる。
今度は触れるだけのキスではなく、深く厭らしく…
「んっ、ふ…っ…」
舌先を何度か舐めた後、小太郎は深い所まで侵入してきた。
この間の激しいキスと比べ、今日はゆっくり口内全体をなぞってくる。
それでも雪乃には十分過ぎる程の刺激で、彼女を骨抜きにするのにそう時間は掛からなかった。
「ぁっ…」
ゆっくりと押し倒された畳の上。
抵抗しようにもまるで力が入らない。
「…そのまま大人しくしていろ」
そう囁かれたと同時に耳を愛撫される。
思わず漏らしてしまった嬌声に口元を覆えば、小太郎の愛撫は更に激しさを増していった。
「ふ…っ…、ん…」
すぐ耳元で聞こえる唾液の絡む音が厭らしい。
下腹部がじんと熱くなるのが自分でも分かった。
「…耳を愛撫されるのが好きか?」
「ちがっ…」
「…先程から腰が揺れているぞ」
「っ…」
自分でも気付いていなかった事実を告げられ、恥ずかしさに顔が赤く染まる。
そんな雪乃を追い詰めるかのように、小太郎の手が夜着の合わせを開いた。
「ゃっ…」
流石に焦った雪乃は、力の入らない腕で抵抗する。
けれどそれをいとも簡単に封じた小太郎は、彼女の胸の谷間に舌を這わせそこに赤い痕を残した。
「な、にを…」
「…此所なら見える心配も無いだろう」
「そ、そういう問題じゃ…!」
雪乃がそう抗議しようとした時…
「雪乃ー、具合でも悪ぃのかー?」
「…!」
部屋の外から元親の声が聞こえた。
食事の席を離れたまま戻ってこない雪乃を心配してやって来たのだろう。
慌てた雪乃はがばっと起き上がり、開いていた胸元をきっちり締める。
そんな彼女と邪魔者の登場に舌打ちした小太郎は、瞬く間に姿を消した。
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