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*キミと出会えた奇跡*【戦国BASARA】

第7章 上田城での騒動




「あの…まだ何か…?」

あの後幸村を部屋へ運んだ雪乃たち(正確には小太郎が引き摺った)。
結局雪乃は自室へ戻ってきたが、何故か小太郎は部屋から出て行こうとしない。


「…まだお前から報酬を貰っていないからな」

「っ…、それならさっき…」

下の名前で呼べと言われ、彼の言う通りにしたはずだ。
それなのにまだ何かさせようと言うのか…


「さっきのはあの傍迷惑な男からお前を助けた報酬だ。あの男を部屋まで運んだ報酬はまだ貰っていない」

「なっ…」

迂闊だった。
てっきり彼は親切心でやってくれているんだと思っていたのに…


「報酬は……解っているな?」

「っ…」

彼の親指が唇をなぞる。
自分からキスをしろという事だろう。
断ればまたキスマークを付けると脅される事まで予測出来ていた。


「フッ…流石に学習したか」

逆らわない雪乃を見て小太郎が満足そうに笑う。
そして逃がすまいと、彼女の体を自分の方へ引き寄せた。


「…屈んでやるから早くしろ」

「……、」

視線を上げればすぐそこに小太郎の顔。
その形の良い唇を見て心臓が早鐘を打つ。

(どうしよう……緊張して手が…)

無意識に小太郎の装束を握っていた手が震えた。
それに気付いた彼が雪乃の手に自分の手を重ねる。


「…なんだ、緊張しているのか」

「あ、当たり前ですっ…」

自分からキスをするのは人生でこれが初めてだ。
呼吸をするのも忘れてしまうくらい体を硬直させていると、彼の唇がそっと瞼に触れた。


「…こ、小太郎さっ……」

名前を呼び終わる前に唇を塞がれる。
何度も啄むようなキスをされ、思わず小太郎の体に凭れ掛かった。


「…次はお前の番だ」

互いの鼻先が触れ合った状態でそう囁かれる。
雪乃はその流れに身を任せ自分から唇を重ねた。



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