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*キミと出会えた奇跡*【戦国BASARA】

第7章 上田城での騒動




「片倉さんもいかがですか?」

「おぅ、悪ぃな」

そう言って雪乃に猪口を差し出す小十郎。
彼とはまだほとんど話した事が無いので少し緊張する。
けれどそれが伝わったのか、彼の方から話し掛けてきた。


「お前は飲まねぇのか?」

「はい…あまり得意ではなくて」

以前元親に飲ませてもらった時の事を思い出す。
控え目に言っても美味しいとは思えず、彼らが次々と瓶を空けていくのが不思議なくらいだ。


「酒の味が分からねぇなんて、まだまだお子様だな」

「ぅ…」

「だったらコイツはどうだ?」

「…?」

見せられたのはやはり酒瓶。
戸惑っている雪乃に構わず酒を注いだ小十郎は、その猪口を彼女に差し出してきた。


「まっ、騙されたと思って飲んでみな」

「……、」

彼の厚意を無下にする事も出来ず恐る恐る口を付けてみる。
けれどそれは想像していた味と違った。


「…美味しい」

この間は苦いとしか思わなかったが、これは果物の風味もして飲みやすい。


「それなら甘味もあるしお前には飲みやすいだろ」

「はい!すっごく美味しいです」

「だからってあんまり飲み過ぎんなよ?酒は酒なんだからな」

「き、気を付けます」



…とは言ったものの。


「…ハァ」

目の前で気持ち良さそうに寝息を立てる雪乃を見て小十郎は溜め息をついた。
辺りを見回せば、先程まで飲み比べをしていた元親や政宗、そして幸村もすっかり眠ってしまっている。


「…ったく、しょうがねぇヤツだな」

飲み過ぎないよう注意したとは言え、酒を勧めてしまったのは自分だ。
少なからず責任を感じた小十郎は、雪乃を部屋まで運ぼうと彼女を抱き上げた。


「あー、右目の旦那ズルい」

「…?」

そこへやって来たのは佐助。
そろそろ宴もお開きになったのではないかと様子を見に来たところだ。


「俺様もむさ苦しい男たちより雪乃ちゃんの介抱したいんだけど」

「馬鹿言ってねぇでコイツの部屋まで案内しろ」

「へいへい」



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