第6章 初めての船旅
「…あの男に話す前に何故俺に話さない」
「…え?そ、それは…政宗さんには偶然バレてしまって…」
自分だって話すつもりなど無かった。
今夜政宗が部屋へ来なかったら、彼にだって隠すつもりだったのだ。
「ふうまさん……もしかして嫉妬…ですか?」
「………」
「じょ、冗談ですよ!」
ジロリと睨まれた…ような気がして、雪乃は慌てて前言を撤回する。
小太郎に限って他人に嫉妬するなど有り得ない。
けれど次の瞬間、彼の口から信じられない言葉が出た。
「…だとしたら何だ」
「…え?」
「俺があの男に嫉妬した…と言ったらどうする」
「……、」
冗談で言ったつもりだった言葉を肯定する小太郎。
雪乃がぽかんと呆けていると…
「…お前の秘密を知るのは俺1人で十分だ」
「んっ…」
抵抗する間もなく突然キスをされた。
すぐに唇を離されたかと思えば、今度は布団の上に倒される。
「ふ、ふうまさん…っ…」
「…案ずるな。口付け以上の事はしない」
「なっ…く、口付けもダメです!」
そう言って彼の胸を押し返してみるがびくともしない。
それどころか反対にその腕を取られてしまった。
「ぁっ…、」
今度は指先や手の甲にキスをしてくる小太郎。
その形の良い唇や、時折覗く赤い舌を見て体が熱くなる。
「フッ…お前でもそんな顔をするのだな」
「…え……」
「…"オンナ"の顔をしているぞ」
「っ…」
そう指摘され、ますます顔が赤くなった。
「んっ…、」
再び啄むように口付けを繰り返す小太郎。
その合間に舌を侵入させようと試みるが、雪乃の唇はしっかりと閉じられたままだ。
「…口を開けろ」
「……、」
その言葉にふるふると首を横に振れば、不意に彼の手が腰を撫でる。
「…!」
驚いた拍子に口を開けると、それを見逃さなかった彼が熱い舌を侵入させてきた。
「ぁ、ん…」
ちゅくっと響く厭らしい水音。
ゆっくりと撫でるように、小太郎の舌が雪乃の口腔内を這う。
味わった事のない甘い痺れに体の力がどんどん抜けていく。
薄れそうな意識を繋ぎ止めようと彼の装束をぎゅっと握れば、口付けはますます激しさを増していった。
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