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*キミと出会えた奇跡*【戦国BASARA】

第6章 初めての船旅




(いたた…)

夕刻。
上田城まではあと半日程かかるという事で、一行は小さな村の宿に泊まる事になった。
初めてにも関わらず長時間馬に乗ったせいか、雪乃の内股は先程から悲鳴を上げている。

(明日絶対筋肉痛だよ…)

体力の消耗も相俟って今夜もよく眠れそうだ。

(寝る前に包帯を替えておこうかな…)

昼間政宗に巻いてもらった包帯を一旦解く。
そこで彼女は信じられない光景を目の当たりにした。


「嘘…」

思わず漏れた声。
そこにあったはずの傷は綺麗さっぱり無くなっていた。
そんなに大した怪我じゃなかったとはいえ、ほんの数時間で治るとは到底考えられない。

(そう言えば…)

雪乃がこの世界へ来た時…
山賊の男2人に追い掛けられて転び、その時も肘や膝に怪我を負った。
けれど目が覚めた時、その傷は跡形も無く消え去っていた事を思い出す。
あの時は自分の置かれた状況を把握するのに精一杯で、あまり深くは考えていなかったが…

(どうなってるの…?)

自分の体は明らかに異常だ。
途端に怖くなる。

と、その時…


「…雪乃、まだ起きてるか?」

「…!」

部屋の外から掛けられた声……政宗だ。
雪乃は少し待ってもらうよう彼に告げ、急いで包帯を巻き直した。



「悪いな…もう休むところだったか?」

「だ、大丈夫です」

自分の異変を悟られないよう平静を装う。


「これ…さっき薬屋で買ってきた」

「…?」

そう言って差し出されたのは小さな缶。


「切り傷によく効く薬らしいんだ。万に一つでも、アンタの指に傷跡が残っちゃいけねぇと思ってな」

「……、」

政宗の気遣いに感謝すると同時に、体の異変に対する恐怖が再び甦ってきた。


「手貸せ。薬塗ってやる」

「っ……だ、大丈夫です!自分で出来ますから!」

「変なとこで遠慮してんじゃねぇよ」

「あっ…」

政宗が半ば無理矢理雪乃の手を取った拍子に、しっかり巻かれていなかった包帯がするりと解ける。
そこで彼は驚愕した。



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