第3章 再会と約束
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(…あれは……)
そろそろ雪乃を帰さなくては屋敷中が大騒ぎになってしまう…
そう思った小太郎だったが、すでに遅かったかとその人物を見て悟る。
…元親だ。
血相を変えて森の中を駆け回っている彼。
もしかしなくても雪乃を探しているのだろう。
彼女を抱き抱えていた小太郎は、スッと元親の目の前に姿を現した。
「なっ…風魔!それに雪乃も…!」
安堵と怒りが同時に芽生える。
雪乃が無事だった事には安心したが、彼女を拐ったのが小太郎だと知り沸々と怒りが込み上げてきた。
「風魔テメェ!一体どういうつもりだ!」
「元親さん、違うんです!これには理由があって…!」
「雪乃は黙ってろ!俺は今ここでコイツとケリを着ける!」
「…!」
頭に血が昇っているらしい元親の目は本気で。
背負っていた槍を構え、今にも小太郎を攻撃しそうな勢いだ。
けれど…
「…!?」
懐から出した物を元親へ向けて投げた小太郎。
一瞬暗器かと思ったそれは何の変哲も無い文だった。
それを読むよう小太郎に促される。
「………」
不審に思いながらも一旦槍を地面に突き刺した元親は、その文を広げて中を読み始めた。
「………」
文を読み終えた元親は自分の目を疑った。
これを書いたのは、本当にあの風の悪魔なのだろうか。
すぐには信じられず小太郎の表情を窺う。
文の内容はこうだった。
雪乃には絶対に危害を加えないという事。
困っている彼女に己の力を貸したいという事。
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