• テキストサイズ

*キミと出会えた奇跡*【戦国BASARA】

第3章 再会と約束






(…なんだかイイ匂い……)

朦朧とする意識の中で感じたのは、鼻孔を擽るお香の匂いだった。
閉じていた目をゆっくり開ければ…


「…!」

「…気が付いたか」

すぐそこにあったのは、見覚えのある兜に見覚えのある口元。


「ふうまさん…!?」

雪乃が小太郎の姿に驚いたのは確かだったが、それ以上に驚いたのは彼が初めて声を発した事だった。


「…あの…私……」

「…屋敷の庭で倒れたのを覚えていないのか」

「……、」

そう言えば庭の掃除をしている時、突然眩暈がしたのを思い出した。
恐らく寝不足による貧血だろう。


「す、すみません…!」

雪乃が寝かされていたのは床の上ではなく小太郎の膝の上。
所謂膝枕というものをされている。
慌てて起き上がろうとすれば、「まだ寝ていろ」と半ば強引に寝かされた。


「あの…ここは…?」

見覚えの無い部屋。
屋敷の中ではなさそうだが…


「…安心しろ、ここは屋敷からそう離れていない小屋だ。後でちゃんと送り届けてやる」

「……、」

饒舌に話す小太郎を見て不思議な気分になる。


「ふうまさん、ちゃんとお喋り出来たんですね」

「………」

(…あ、また黙っちゃった)

そもそも何故彼は、自分が倒れた場に居合わせたのだろう?
ひょっとしてまた何か用でもあったのだろうか?


「…お前に話があった」

「…え…?」

心の中を見透かされたようにそう言われる。


「お話…ですか?」

「…ああ。今日はお前に別れを告げに来たのだ」

「……、」

唐突に告げられたその言葉に、雪乃は大きく目を見開いた。
彼とはたった数回会っただけの仲だが、それでも突然の告白に胸がきゅうっと苦しくなる。



.
/ 108ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp