第3章 再会と約束
(…あれ……私、いつの間にか寝ちゃってた…?)
それから雪乃が目を覚ましたのは1時間後の事だった。
余程ぐっすり眠っていたのか、頭もスッキリしている。
(…これ……)
ふと肩に掛けられていた物に気付く。
見覚えのあるそれは、いつも元親が羽織っている上着だ。
(…て事は元親さん、もしかして私を訪ねてきてくれたのかな…)
そうだとしたら申し訳ない事をした。
そんな事にも気付かず爆睡していた自分。
上着も返さなくてはいけないし…と、雪乃は元親の部屋へ向かう事にした。
「起きたか…眠り姫さんよォ」
「す、すみません!」
元親の部屋を訪れると、茶化すようにそう笑われた。
ぺこりと頭を下げながら借りていた上着を彼に返す。
「疲れてんのか?お前はよくやってくれてるし、あんまりしんどいなら仕事減らしたっていいんだぜ?」
「いえ、大丈夫です!昨日遅くまで起きてたせいで、今日は少し寝不足だっただけですから…」
「ならいいけど…。つーか眠れないなんて、なんか心配事でもあんのか?」
「べ、別にそういう訳じゃ…」
「隠し事は無しって言ったろ?何か困った事があんなら…」
「お気遣いありがとうございます!ホントに何でもありませんから…!」
元親の言葉を遮りそう捲し立てると、雪乃は「夕飯の支度してきますね!」と言って逃げるように彼の部屋を出た。
(…なんだよアイツ……なんか怪しいな……)
(ふぅ、危なかった…)
元親の部屋を離れ、雪乃は小さく息を吐く。
あのまま彼に昨夜の事を突っ込まれたらどうしようかと思った。
昨夜小太郎と会った事を元親に黙っておくのは心苦しかったが、小太郎との約束を破る訳にはいかない。
(ふうまさん…本当に今日も来てくれるのかな…?)
正直半信半疑ではあったが…
雪乃は夜になるのを待ち、屋敷の皆が寝静まった頃昨日小太郎と会った縁側へ再び向かった。
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