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*キミと出会えた奇跡*【戦国BASARA】

第2章 屋敷での生活



元親の手慣れた様子に驚きながら、ほぼされるがままになっている雪乃。
そんな彼女に「ちゃんと覚えろよ?」と釘を刺す。

自分と違って小さな体。
毎日むさ苦しい男ばかり見ていると、女の体はこんなに小さなものだったかと少し戸惑う。
帯を締めるにも力加減が分からない。


「苦しくねぇか?」

「はい、大丈夫です」

「しっかし、ホントに変わったヤツだな。その年で着物の着方も知らねぇなんて」

「…すみません」

「別に謝る必要は無ぇけどよ」

…ホントに彼女は何者なのか。
とりあえず間者や忍の類では無さそうだが…

(まさかホントにどっかの姫様とかじゃねぇだろうな…)

普段着付けは侍女にやってもらってるから、自分自身は着方が分からない…とか。


「………」

徐々に募っていく不安。
もし彼女が他国の姫などであったら、自分はそれを拐った海賊という事になってしまう。
そうすれば国同士の戦にだってなり兼ねない。


「…元親さん?」

「…!」

手を止めてしまった元親を不思議に思ったのか、雪乃が声を掛けてくる。


「アンタ……ホントにどっかの姫とかじゃあねぇんだよな?」

「え…?」

「実は城を抜け出してきたとか」

「ち、違いますよ!私のうちはごく普通の一般家庭です!」

「…ならいいんだが」

(焦るところが益々怪しい…)

雪乃がそんな嘘をつくような人間だとは思いたくない。
何より、一度信じた人間を疑うのは自分の信条に反する。


「………」

けれど難しい顔をしている元親に雪乃は不安を覚えた。


「あの…元親さん」

「ん?」

「やっぱり私の事…迷惑ですか?」

「は…?」

「もし迷惑なら私…」

「ばっ…誰もそんな事言ってねぇだろ!」

何か勘違いしているらしい雪乃。
彼女の両肩を掴むと、元親は目を合わせて真剣に自分の想いを伝えた。


「いいか?誰もお前の事を迷惑だなんて思ってねぇ。途中で投げ出すくらいなら、最初からお前の面倒見るなんて無責任な事言わねぇよ」

「…っ」

「不安な事があるなら何でも俺に話せ。俺が絶対ぇ何とかしてやるから」

「元親さん…」

彼の熱い想いに胸を打たれる。
気付けば、雪乃の瞳からはひと筋の涙が零れていた。



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