第3章 It's been a while【リヴァイ】
これがきっと最後だと本気で信じたあの恋が終わってから、もうしばらくが経った。
リヴァイは気持ちをあまり言葉にはしない人で、忙しく会えない時間に不安を募らせていったのが私だった。
付き合い始めた頃は許せたような小さなことでも喧嘩を吹っかけてしまうようになって、壊れそうになっていた私を見かねたリヴァイが別れを告げた。
あぁ、そうだ。どこにだってよくあるようなあの恋が終わってから、もうしばらくが経った。
調査兵団の話題は、ウォール・ローゼの田舎町にも届くし、兵士長の活躍なら尚更だった。
だから、リヴァイのことを想って苦しくなることもよくあったけれど、もうそんなこともしなくなってしばらくが経っている。
少し前から付き合いだした彼は、リヴァイと違って、私を不安にさせることはない。
出来るだけ会う時間を作ってくれるし、私を笑わせようとしてくれる。
愛の言葉だって私が欲しいときにくれて、言うべきことは何でも伝えてくれる。
身長も高くて、髪の色も違う。
まるで正反対だから、私はもう、リヴァイのことを考えることなんてない。
今夜、彼とのデートの場所は、リヴァイが私の家に泊りに来るときによく行っていたバーだった。
近くの時計台の下での待ち合わせだって、彼は先に来てくれていて、私を見つけると優しく微笑んで手を上げた。
「遅くなってごめんね。」
「俺も今来たとこだよ。」
さらりと言って、彼が私に落とした唇はひどく冷たかった。
そんなところもリヴァイとは全然違っていて、彼はスマートな仕草で私の腰を抱き寄せる。
背の高い彼と並んで歩くとき、私はいつも見上げなくちゃいけないから首が痛くなってしまって、結局、足元を見て歩いてる。
すれ違う女の人達はいつも、彼を振り返る。
だって、とてもカッコいいし、スタイルも良くて素敵だから。私にはもったいないくらい。