第3章 It's been a while【リヴァイ】
バーに着くと、彼は当然のように扉を開いて私を先に中に入れてくれる。
とても紳士的で、あぁ、やっぱり、リヴァイとは全然違っていて本当に素敵ー。
彼が腰を降ろしたのは、奥の角にある席だった。
そこが一番落ち着く場所だからだと思う。
リヴァイもいつも、その席に座っていたっけ。
「何飲む?」
「ん~…、リアムのおすすめがいいな。」
「OK。じゃあ、俺がいつも飲むのでいいかな。」
彼が注文したお酒は、リヴァイがいつも飲んでいたお酒だった。
何もかもが正反対だと思っていたから、少しだけ驚いた。
でも、私の好きなお酒だから、きっと彼とはとても気が合うんだと思う。
すぐにお酒が来て、グラスを持って乾杯する。
ふわりとあの頃と同じお酒の香りが届くから、一瞬、フラッシュバックしてしまった。
あぁ、どうしようー。
バーの暗闇が、彼の輪郭を曖昧にしたせいで、まるでそこにリヴァイがいるみたいに見えるー。
「どうかした?」
「ううん、なんでもないの。今日もリアムは素敵だなぁと思ってただけよ。」
「それを言うなら、君の方だよ。
俺にはもったいないくらいはいつも魅力的だ。」
「そんなこと言ってくれるのはリアムだけよ。」
「もしそれが事実なら、世界規模で男の視力が落ちているんだろうな。」
「それは大問題ね。」
「いいや、とても都合がいい。君を他の男にとられるのは御免だからね。」
「心配しなくて大丈夫よ。私はずっとリアムが好きだもの。」
「ならよかった。」
バーにかかる音楽が、私とリヴァイの想い出の曲に変わった。
私は素敵な恋人の素敵な恋人でいたくて、笑顔を作る。
そんな私に、彼が嬉しそうに微笑んだ。