第10章 雨が上がった、やっと君に会えたよ【リヴァイ】
でも、残念だけれど俺は、ペトラが思うほど優しくはない。
だって、いつまでも愛していくと心で誓っていた恋人への———、元恋人への想いはそのままで、彼女に心からの愛を伝えられてしまうし、愛を込めたキスだって出来てしまう。
本当にごめん。
俺は、幸せだ。
ペトラの思うような優しい男ではなかったかもしれないし、失った愛をひとりきりで永遠に想い続ける強さもなかったけれど、それでも幸せなのだ。
を愛して、想われて、幸せだ。
あぁ、悲しくて、寂しくて、どうしようもなく切ないくらいに、俺は今————。
「私もです…っ。愛してる…っ。
リヴァイさんを、リヴァイさんだけを、愛してます…っ。」
唇が離れれば、泣きじゃくりながら愛を伝えるを、俺は、今度こそ優しく包み込むように抱きしめた。
あぁ、こんな風に『愛してる』と言ってやれていたら、ペトラはどんな風に喜んで、どんな風に、その言葉を返してくれたのだろう。
ペトラにしてやりたかったこと、伝えたかったことが、たくさんある。
きっとそれはいつまでも、後悔となって俺の中に残り続けるのだろう。
『愛してる』と伝えないまま、別れがくるなんて思ってもなかった。
思いたくもなかった。
でも、今の俺にはもう、ペトラに伝えられる言葉は、ひとつしか残っていない。
たったひとつしか、残っていないのだ。
あぁ、悲しいけれど、寂しいけれど、そろそろ『さよなら』と言わないといけないらしい。
—さよなら———。
【雨が上がった夜空で、美しい星が柔らかく光っていた】