第9章 What if you get scared I'll …
この香りを、俺は覚えたいんだ。
特別でもなんでもなくなって、いつでも周りを包み込むこの香りが俺に沁み込んで、仲間達が、俺と君は同じ匂いがするって笑う。
そんな未来が来たら、どんなにいいだろう。
そしていつまでも、俺にとって特別な君を、こうして抱きしめていたい。
君を抱きしめるのは、俺がいい。
ずっと、ずっと、俺がいい。
「朝も、昼も、夜も、お前に、愛してると言ってやるよ。
が、もう一度、信じられるようになるまで、何度だって、愛を誓う。
お前が、俺を好きだと、認めるしかなくなるまで、お前が、俺を好きだと認めてからも、ずっと。」
優しく包み込む君の震えが、止まった。
しばらく黙り込んだ後、君は顔を上げて、俺を見たんだ。
大きな瞳に涙をいっぱい溜めて、今にも泣いてしまいそうだった。
でも、柔らかい笑みは、出逢った頃の君と同じだった。
【君の望む恋人こそが、俺がなりたい男なんだ】
もしも、残酷な世界が、君の心を粉々に壊そうとしたのなら、俺は君の為に、君の為だけに、強大な敵に立ち向かおう。
それが、この世で最も恐ろしい地獄で、君が、もう無理だと諦めてしまいそうになっても、俺が怖気づくことはない。
身体が吹っ飛んで、片目を失って、指が欠けたって、そんなことで、俺が立ち止まることはない。
君が、安心して笑える日が来るまで、俺は何度だって立ち上がる。
そして、戦い続けるんだ。
君がいれば、俺はどんなときも世界で最も強い兵士になれる。
もし、君が、命を賭けて戦う俺の背中を見たのなら、覚えておいてくれ。
それは君の為だ。
でも、心配しなくていい。
君が泣くのなら、この命だって、君の為に守り抜こう。
だから君は、いつも、俺のそばにいて、俺の「愛してる」に包まれていて。
君の、この世で最も尊い、その命と共に、俺は生きていきたい———。
—fin—