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【進撃の巨人】Short Story

第7章 相変わらずな君と僕【リヴァイ】


これで終わりかー。
そう思いながらリビングを見渡した時、ソファの背もたれの下の方に何かがはまっているのに気が付いた。

(なんだ?)

不思議に思いながら指をつっこんで取ってみると、淡いピンク色のマニキュアだった。
見覚えのあるそれに、思わずリビングのローテーブルを見てしまう。
生きるために必要最低限あればいいと思ってる俺は、物が少ないとよく言われる。
でも、そのすべてが俺が厳選したものばかりだ。
このガラス製のローテーブルも、気に入って買ったものだった。
そんな大切なローテーブルは、真ん中から少しズレた場所に淡いピンク色のマニキュアがついている。
シンナー臭いからやめろという俺の話も聞かないで、ダラダラとドラマを見ながらマニキュアを塗っていたが、間違ってつけてしまったのだ。
はすぐに謝ったし、除光液で消そうとしていたけれど、そもそもシンナー臭い空間にもイライラしていた俺は、テレビを見ながらそんなことするからだとブチギレて話も聞かなかった。
そういえばあれから、がマニキュアをしているのを見ていない。
いや、実際は分からない。
だって俺は、のことを何も見ていなかったのだから。
髪を切ったって気づいてやれなかった俺が、爪の先の色の違いに気づくはずはないのだ。
無意識に力強く握りしめていたマニキュアも、黒いトートバッグの中に放り投げた。
そして、もう一度、リビングを見渡す
今度こそ本当に、リビングは俺だけの楽園を取り戻したはずだ。
後は、洗面所の棚のほとんどを占領している化粧品と歯ブラシだけだ。
邪魔で仕方のない化粧品も、どうせ3日坊主で終わるのだから無駄だと何度言っても、今度はちゃんと続けるからと聞かないがコレクションしたものだ。
せめて3日は使ったのかどうかも怪しい。
アレは、使わないままだったのだし、歯ブラシと一緒に捨ててもいいのかもしれない。
俺は一旦、休憩することに決めて、ソファに腰を降ろした。
黒いトートバッグの中には、の欠片が無造作に詰め込まれていた。
なんとなく抱きしめてみると、フワリとが気に入ってつけていた香水の匂いが微かにした。
無造作に詰め込まれたの忘れ物の中に、見覚えのある香水の瓶があったことを思い出した。
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