第7章 相変わらずな君と僕【リヴァイ】
またヤカンに火をかけてお湯を沸かすだけのやる気をなくした俺は、今朝は紅茶は諦めることにした。
確か、冷蔵庫に牛乳があったはずだ。
そう思って、冷蔵庫を開けて牛乳パックを取り出せば、賞味期限は一週間前に切れていた。
麦茶もここ最近は作っていないから、ない。
あるのは、昨日、コンビニ弁当と一緒に買ったペットボトルの水だけだ。
最近はずっと食材の買い出しもしていなかったし、冷蔵庫の中はそれ以外ほとんど空だった。
がいる頃は、こんなことはなかったのにー。
そんなことを考えてしまって、すぐに冷蔵庫の扉を閉めた。
(なんか、焦げ臭ぇ…。)
訝し気に眉を顰めて、トースターでパンを焼いていたことを思い出した。
慌ててトースターを開けて中を確認すれば、無添加をうたっていたパンが、身体に悪そうな真っ黒な色に変わっていた。
1人でだって朝食を作れるのだと意気込んでいたくせに、結局は相変わらずの自分に嫌気が差してため息を呑み込めば、代わりに舌打ちが漏れた。
悪魔の食い物みたいな死ぬほど熱い真っ黒のトーストを真っ白の皿の上に乗せて、水のペットボトルを持ってリビングのローテーブルに置いた。
テレビをつけたら、いつもの朝の情報番組がやってなくて、今日は土曜だと気づく。
それならまだ寝ていればよかったと思いながら、真っ黒のかたすぎるトーストを齧った。
「苦ぇ…。」
当然、美味しいわけなんかなくて、眉を顰めて呟く。
せっかくの無添加もこれじゃ台無しだ。
無理に仕事を詰め込んで、寝不足も続いている俺の身体は、最近では、身体に悪いとが口を酸っぱく言っていたコンビニ弁当で出来ている。
そこにこの真っ黒に焦げたトーストなんか食べたら、本当に身体が壊れてしまうかもしれない。
あぁー。
早く、俺の身体は壊れてしまわないだろうか。
俺の心が、壊れてしまう前にー。
絶望的なことを願いながら、真っ黒に焦げたトーストを無理して齧る。
苦いし、かたい。
コンビニ弁当も、飽きてしまった。
味は濃いし、食べた後は身体が重たくなるし、何より美味しくない。
美味しくないのだ。
何を食べても、美味しくないどころか何の感情も湧いてこない。
あぁ、今、無性に、の作った料理が食べたい。