• テキストサイズ

H・I・M・E ーactressー【気象系BL】

第8章 scene2:ハートのバスタブ


何だか…、NINOが羨ましく思えた。

同じ仕事をしてるからこそ、お互いの立場が分かってるからこそ、通じ合えるし、理解だって出来る。

でも僕は…

仮に僕が誰かのことを好きになったとして、今の僕の置かれている状況を理解してくれるだろうか…

素顔を出しているわけじゃないから、“僕”だと気づかれなければ、もしかしたら可能なのかもしれないけど、それじゃ僕には後ろめたさが残る。

だってAV男優(僕自身は“女優”だと思ってるけど…)なんてさ…、しかもゲイ向けの…なんて…言えないもん。

でも、彼なら…
HIMEの大ファンだって言ってくれる櫻井君なら…

もしかしたら理解してくれるのかな…

…って、どうしてここで櫻井君の事が!

ああ…、もう、僕のバカバカバカッ!

櫻井君が好きなのは“HIME”で、“僕”じゃないのに…

はあ…、切ない。

…って、僕、別に櫻井君のことなんて、何とも…思ってんのかな…

「はい、出来上がり。くく、とっても可愛いわ」

ぼんやりと考え事をしているうちに、僕の金髪クルクルツインテールを整え、服まで着せてくれたNINOが、鏡越しに僕に微笑みかける。

「あ、ありが…とう…」

僕も手先は器用な方だって言われるけど、NINOもとても手先が器用なのね?

NINOが金髪クルクルツインテールに結んでくれたおリボン、とっても綺麗で可愛い♡

「どう? 気に入った?」

「うん、とっても♪」

あ、でも僕ばっかり…ってのは申し訳ないよね?

でも僕に出来ることって言ったら…

そうだ♪

「ねぇ、ちょっと待ってて?」

「え? いいけど…?」

僕はフワフワスカートの裾をヒラヒラさせながら、NINOをその場に残し、バスルームを飛び出した。
/ 753ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp