第8章 scene2:ハートのバスタブ
「ビックリした?」
驚きのあまり硬直する僕の金髪クルクルツインテールに、ブルーのリボンを結びながら、NINOがクスクスと肩を揺らす。
「だってそりゃ…」
芸能人同士で付き合ってるってのは、良くワイドショーなんかでも見かけることはあるから、全然驚きもしないし、不思議にも思わないけど、でも僕達の仕事って…
芸能人と言えば…もしかしたらそうなのかもさされないけど、かなり特殊で…
しかも、セックスを売りにしてるわけで…
カメラの前で、恥ずかしい部分を隠すこともなく、歓喜の声を上げながら、恥ずかしい行為を曝け出して…
いくら同業者だとは言え、そんな僕達が普通に恋愛なんて…、正直出来っこないって、ずっと思ってた。
なのにNINOと相葉さんは…
「嫌…じゃないの?」
「何が?」
「それはその…、自分の恋人が他の人抱いてるのって、嫌じゃないのかな、って…」
勿論、逆も同じなんだけど…
自分の恋人がもし、例えばそれが仕事だったとして、他の人に抱かれて喜ぶ姿を見るのって、悲しくなったりはしないのかな、って…
「うーん、そうねぇ…、嫌か嫌じゃないかって言われたら…、それは勿論“嫌”よ?」
やっぱりそうだよね?
じゃあ、どうして…
「確かに、自分の恋人が他の人を抱く姿なんて見たくない、って思うのは普通よね?」
「うん…」
僕だったら…って考えると、そんなの見たくもないし、見せたくもない。
「でもね、本気じゃないもの。あくまで“お仕事としてのセックス”だもの。そこに心なんて無いでしょ? HIMEちゃんだってそうでしょ? 私のこと、本気で愛してるわけじゃないでしょ?」
「あ…」
確かにNINOの言う通りかもしれない。