第8章 scene2:ハートのバスタブ
監督さんやカメラマンさん、スタッフさん達が出て行くのを待って、二人してピンク色したバスタブから出て、全身に着いた泡々をシャワーで流す。
イチゴミルクの匂いがする泡々に包まれてると、僕自身がスイーツになれたような気がしてたのに、ちょっと残念。
「あ、そうだわ、さっきの話だけどね?」
「アドレス交換の話…し…?」
「そうそう、さっきはタイミング良くなのか、悪くなのか邪魔が入っちゃったじゃない?」
あ、そっか…
あの時、丁度長瀬さんが…
「うん…。でも、どうして僕が相葉さんとアドレスの交換したことを?」
「くく、知りたい?」
うん、すっごく!
だってあの時相葉さん、僕とアドレスの交換したことは誰にも言わない、って…
ちゃんと約束だってしたのに、NINOが知ってるって、変じゃない?
「あのね、実は私…」
NINOが僕を鏡の前に立たせ、僕の金髪クルクルツインテールをブラシで梳かしかみを梳かしながら、キョロキョロっと周りを気にする。
そして一瞬はにかんだように笑うと、僕の耳元に唇を寄せ、
「私と相葉さんね、付き合ってるの」
そう言って頬を赤らめた。
ふーん…、そっか…、それで相葉さんが…
ふーん…、なるほどね…、って…
「え、ええっ…!?」
ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待って?
相葉さんがNINOと付き合ってる、なんて…、僕聞いてない。
「冗談…でしょ? だって、相葉さん、そんなこと一言も…」
たった一度共演したくらいで、そんな大事な事言うわけないって分かってるけど、でも恋人がいるとか…、匂わせ的な事も無かった…よ…?
「それはだって私が口止めしてるからよ…。だって“あの人”、いかにも口軽そうでしょ?」
それは…確かにそうだけど…
それにしてもビックリだよ。