第8章 scene2:ハートのバスタブ
僕はムズムズし始めたお股を隠すように、泡々の中で膝と膝をピッタリと擦り合わせた。
その時、
「じゃあ、二人で抱き合っちゃおうか?」
カメラマンさんの声が飛び、NINOが片手で僕のおっばいをモミモミしながら、残る片方の腕で僕を勢いよく抱き寄せた。
頬と頬をピッタリ密着させて、
「笑って?」
NINOが僕だけに聞こえるように、小さな声で言う。
でも僕はそれどころじゃなくて…
一生懸命笑顔を作ろうとするけど、NINOの手が僕のおっばいをモミモミする度に、身体がビクビクしちゃって…、どうしてもお顔が引き攣ってしまう。
それでもどうにかこうにか笑顔を浮かべると、カメラマンさんが何度か続けてシャッターを切り…
「おっけ〜い、凄く可愛いのが撮れたよ」
大きなカメラを脇に抱え、両手を叩いた。
そして国分監督も…
「や〜、二人共最高だったよ。お疲れさん」
“元気印”をプルンプルン揺らしながら、両手を叩いた。
ってゆーか、いつまで出しとくつもりなんだろう?
早く仕舞わないと、“元気印”が風邪引いちゃうのに…
「HIMEちゃん、お疲れさま。とっても楽しかったわ♪」
NINOが僕の頬に、チュッとキスをする。
「えっと…、あの…、HIMEもとっても楽しかった…です。それに…」
「それに…、なぁに?」
「と、とっても嬉しかった…です…」
とっても気持ちよかった…、なんて言えないなくて、僕は咄嗟に誤魔化した。
ま、実際憧れのNINOと共演出来て嬉しかったしね?
だから嘘はついてない。
「あ、ねぇ、アドレス交換しない?」
「えっ?」
「良いでしょ?」
NINOが、長い睫毛で縁取られた片方の瞼を、バチンとばかりに閉じた。