第8章 scene2:ハートのバスタブ
NINOの中の“男”が本気で…って?
じゃあ、さっきまでのNINOは何だったの?
僕から見れば、十分過ぎるくらい、“男”だったのに…
もしNINOが本気を出したら…、もっと凄いってこと…なの?
それはそれで僕…、嬉しいんだけど♡
「さ、綺麗になったし、お風呂に入りましょ?」
「うん…」
シャワーヘッドを元に戻し、NINOが僕の手を引く。
その時、
「二人共、ちょっとそこで振り向いてくれる?」
カメラマンさんの声がして、僕達は同時に首だけで後ろを振り返った。
カシャカシャッと何度かシャッターを切る音と、目が眩むようなフラッシュが僕達に浴びせかけられる。
「いいよ、二人共凄く可愛いよ!」
無心でシャッターを切るカメラマンさんの横で、メガホンを口元に構えた国分監督が目をハートにして、うんうんと頷く。
でもその時僕は気付いてしまったんだ…、開いたチャックの隙間から、監督さんの“元気印”がひょっこりお顔を出していることに…
NINOも当然そのことに気付かないわけもなく…
「見て見て? 監督ったら、私達のお尻を見て興奮してるわ(笑)」
「ふふ、監督さんたら、お尻フェチなのかしらね?」
「くく、きっとそうね(笑)」
僕達は顔を見合わせ小さく“うん”と頷くと、「せーの…」の掛け声で監督さんに向かって投げキッスをしてから、お尻をプリンと振った。
すると、
「ぬおっ…!」
と、おかしな声を上げた監督さんのお鼻から、赤い液体がツーと流れて、ピンク色のタイルにポタッと落ちた。
そしてチャックの開いたズボンの隙間からは、ひょっこりどころじゃなく“元気印”がぴょこんと飛び出した。
ふふ、監督さんたら、僕達のお尻に興奮するなんて、とってもマニアックなのね(笑)