第35章 scene37:僕達のParty Starters!
僕が演技していると気付かない翔くんは、ぐちゃぐちゃになった僕の身体をタオルで拭くと、そのまま僕を抱いてバスルームへと向かった。
お湯は溜めてなかったから、シャワーだけなんだけど、全身の汚れと、中を綺麗に洗い流してくれて…
濡れた身体も、フワモコのバスタオルでちゃんと拭いてくれて、それからそっとベッドに寝かせてくれて…
凄く優しくしてくれるから、ずっと演技してるのが申し訳なくなるけど、仕方ないよね?
僕はお布団に包まって、寝返り打つフリをして翔くんに背中を向けた。
そしたらね、眠っている(フリだけど…)僕の頬に、ポタンと雫が落ちて…
「おやすみ、智くん」
僕の頬に翔くんの唇が触れた。
そして僕の髪を一撫でしてから、翔くんはベッドから離れ、再びバスルームへと戻って行った。
そっか…、僕のことばっかで、翔くん自分のことは何もだったもんね?
僕はバスルームのドアが閉まったのを確認してから、パチンと目を開けた…けど、すぐに閉じた。
本当はさ、翔くんが戻ってくるまで待とうと思ったんだけど、無理みたい。
凄く眠いんだもん。
僕は目を閉じたまま、心の中でしよ 翔くんに「おやすみ」を言うと、そのまま吸い込まれるように眠りに落ちて行った。
いつの間に戻ったのか、翔くんに肘鉄を食らって目を覚ました僕は、そっとベッドを抜け出した。
スマホで時間を確認すると、翔くんが起きるまでは、まだ少し時間があるみたいで…
僕はキッチンに立つと、洗ったお米を炊飯器にセットして、ご飯が炊けるまでの間にお味噌汁を作って、それから卵焼きを焼いて…
朝ご飯の準備を始めた。
普段は適当に済ませちゃうことが多いけど、今日は特別。
だって翔くんの門出の日だもん。
何もしてあげられないけど、ご飯くらいはちゃんとね…って思って…
ふふ、何だか僕、翔くんの奥さんみたいだ(笑)