第35章 scene37:僕達のParty Starters!
翔くんから出された条件は…
“契約条件である17時を過ぎて勤務することは禁止”
“出勤時はともかく、帰宅は翔くんの迎えを待つこと”
の二つ。
どっちも簡単と言えば簡単なことなんだけど…
何で?
いや、一つ目は分かるよ?
僕だって時間を超えてまで働きたくないしね?
でも二つ目のって?
そりゃさ、前に住んでたアパートに比べたら、今のマンションはちょっと遠くなるし、以前のように自転車では通えない距離だけど、一人で通えない訳じゃないし、そこまで子供じゃないよ?
「何で?って顔してるね(笑)」
「うん…」
「あのね、バイトすることには俺も賛成だよ?」
だったらどうしてこんな条件を?
「でもさ、あそこのレンタルショップって、たまにおかしな奴来るでしょ?」
おかしな奴…?
「ほら、ニキビ野郎とかさ…」
ああ、なるほど、確かにいたね(笑)
「またアイツが襲って来たら…と思うとさ、俺… 」
あ…
「あの時は何もなく済んだから良かったけとわ、もし智くんに何かあったら、俺生きてけないからさ…、だから帰りくらいは一緒に…って思ってさ…」
そっか…、以前僕が襲われかけたこと、翔くんまだ気にしてたんだ?
だからこんな条件を…
だったら僕に拒否権はないよね?
だって僕のためなんだもんね?
「分かったよ。約束するよ」
僕は右手の小指をピッと立てると、翔くんの右手の小指に絡めた。
「ふふ、約束げんまん♪」
「智くん…」
小指と小指を絡めたまま、翔くんの唇が僕の唇に重なり…
え、ちょ、ちょっと…?
僕の身体がゆっくりと床に押し倒された。
「ね、ねぇ、明日入社式…」
「うん、知ってる」
「寝坊したら…」
「俺、しないから、寝坊(笑)」
そりゃそうかもしんないけどさ…
「で、でも…」
「大丈夫。入社式も大事だけど、俺には今のこの時間の方が大事だから」
そ、そう…なの?
ってゆーか、どっちに比重傾いてんのよ(笑)