第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
そうだ、良いこと思いついた♪
あ、でも翔くん嫌がるかな…
多分翔くんは“僕”とデートがしたいって思ってるんだよね?
だから、もし僕が“HIME”の姿で…、なんて言ったら怒っちゃうかも…
でも僕達が“普通”のカップルみたいにデートしようと思ったら、そうするしかないじゃん?
そしたらさ、手だって堂々と繋げるし…
うん、そうだよ…ね?
「ちょっと待って?」
僕は翔くんを一人残してロフトに上がると、壁際に積まれたクリアボックスを床に広げた。
「えっと…、どこに仕舞ったっけ…」
確かここに入れた筈なんだけど…、違った?
「智くん?」
一人ゴソゴソと始めた僕が気になったのか、翔くんがハシゴの途中からロフトを見上げる。
「つか、何してんの?」
「んと…ね、服を…ね、出そうと思って…」
「服って…、こんな時間に衣替えでもするつもり?」
「えと、そうじゃなくて…、HIMEの服を…ね…?」
「HIMEちゃんの? 何でまた…」
ロフトまで上がって来た翔くんが、床一面に広がった服を掻き分けて、僕の隣に胡座をかいて座る。
そして僕のお顔を覗き込んで、僕の頬を指でムギュッて摘んだ。
「う〜、いひゃい…」
そんなに力入れたら、頬のお肉が伸びてたるんじゃうよ…
「まさか俺のためにHIMEになろうとか思ってる?」
え…?
「ら、らんれわかっらろ?」←何で分かったの?と聞いてるらしい。
「分かるよ、智くんの考えてることくらい(笑)」
そう…なの?
「どうせ、俺が変な目で見られるのが嫌、とか思ってんでしょ?」
「うん…」
僕は頬を摘まれたまま、コクリと頷いた。
「女の子の格好じゃないと、普通のデート出来ないとか思ってんでしょ?」
う、うん…
図星を指されて、コクコクと頷きだけで答える僕…
その横で翔くんは、「はぁ…」と一つとっても深い溜息を落とした。