第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
「読んで」って言われて、目をお皿のようにしてスマホの画面上に表示された文章に目を走らせる。
「えっと…、内定通知ってことは…、んと…合格したってこと…?」
就職をしたこともなければ、就活だってしたことのない僕には、それが何を意味するのかいまいち良く分かって無くて…
「ま、まあ…、そうだね、合格ってことかな(笑) ほら、ここにちゃんと”採用”って書いてあるでしょ?」
翔くんに言われて漸く、胸の底から喜びがこみ上げて来て(笑)
「す、凄いよ! 翔くん、凄い!」
僕は飛びつくように翔くん抱き付くと、今度は背中をバンバンと叩いた。
「こ、こら痛いって(笑)」
「あ、ごめん…、でも僕、嬉しくて…」
本当だよ?
本当に自分のことのように嬉しい。
「あ、ねぇ、お祝いしなきゃ!」
「え、良いよそんなの…」
「翔くんは良くても、僕がして上げたいの。ダメ?」
ね?、と僕が上目遣いで見つめると、翔くんは少しお顔を赤くして、照れたようにコクリと頷いた。
あ、でもお祝いって何をしたら良いの?
急なことだったから何も用意してないし…
あ、お洒落なレストランでディナーとか?
でも僕、そもそもお洒落なレストランとか知らないし…
どうしたら良いんだろう?
どうしたら翔くんに喜んで貰えるんだろう?
あ、そうだ…
「ねぇ、翔くん欲しい物とかある?」
僕が選ぶのも良いけど、どうせプレゼントするなら、翔くんが本当に欲しい物を上げたいし…
だったら翔くんに直接聞くのが一番だよね♪
「欲しい物か…」
「うん。何でも良いの」
翔くんが今欲しい物、教えて?
「本当に何でも良いの?」
「うん」
あんまり高い物だったら…、その時は貯金下ろせば良いし…
「俺…さ、無理だったら良いんだけど、デートがしたい」
へ?
デート…って?
「智くんと手繋いで街歩いて、一緒に買い物したり、人気のカフェでお茶したりさ…。普通の恋人みたいなデートがしたい」
普通の恋人みたいなデート、か…
普通のカップルなら、きっと簡単なことなんだろうけど、僕達は…