第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
どうしよう…
やっぱり慰めるべき…だよね?
”残念だったね、また次頑張ろう!”って言えば良いの?
う~ん、それって何か違う気がするし…
こんな時、恋人なら優しく抱きしめて、そっと背中を撫でて上げる…とか?
ああ~ん、僕どうしたら良いの?
でも、やっぱり抱きしめるくらいはしても良いよね?
ってゆーか、僕にはそれくらいのことしか出来ないから、出来ることを翔くんにはして上げたい。
僕は項垂れたままの翔くんをそっと抱き締めると、小刻みに震える背中を優しく撫でた。
大丈夫だよ、って…
僕が付いてるからそんなに落ち込まないで、って…
きっと翔くんにとっては何の慰めにもならないとは思うけど、心の中で何度も繰り返しながら。
そしたら、翔くんの肩が突然激しく上下を始め…
え…、何事?
僕が背中を撫でる手を止めると、翔くんがお顔をパッと上げて、
「ねぇ、ワンルームにする? それとも相葉さん達みたいに、それぞれプライベートルームつくる?」
へ…、何…言ってるの?
ってゆーか、翔くん…泣いてない?
「あ、そうだ! いっそのこと一軒家とかにしちゃう? 新築は無理だけど、中古なら今からローン組めば、えっと…」
え、え、ちょっと待って?
僕、全然話が見えないんですけど?
だからかな…、僕、凄く間の抜けたお顔をしてたんだと思う。
「どうしたの、おかしな顏しちゃって(笑)」
どうしたもこうしたも、全く意味が分からないんですけど?
「あ、あの…さ、ダメだった…んだよね?」
「は? 何言ってんの? ダメなわけないじゃん(笑)」
へ…?
「で、でもさっきガクーンって…」
なってたよね?
だから僕てっきり内定貰えなかったのかと…
「ああ、あれは喜びを噛みしめてたっつーか…」
「え、じゃ、じゃあ…?」
混乱しつつも僕が聞くと、翔くんはスマホの画面を僕に向け、ニカッとばかりに白い歯を見せて笑った。