第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
どれくらい泣いたんだろう…
翔くんのお母さんが僕の背中をポンポンてしてくれて、僕は漸くお顔を上げて涙を拭った。
「あのね、確かにあの子が選んだのが男の子だったのは…ショックだだたわよ?」
やっぱり…
普通はそうだよね…
「でもね、私は…私達は、貴方と一緒にいることで、翔が幸せならそれで良いと思ってるのよ?」
「で、でも…」
僕は男の子だから、何一つ期待に応えることが出来ないのに?
「そうね…、そりゃ孫の顔だって見たいし、翔のお嫁さんと一緒にキッチンにだって立ちたいわよ? でもね、私思ったの」
何…を?
「ほら、あの子って色々趣味が悪いって言うか、センスがないじゃない?」
まあ…、それは僕も否定出来ないかも。
「そんなセンスの欠けらも無いような子が、貴方みたいな子を選んだことだけは褒めて上げたいわ(笑)」
え…?
それって僕のこと…を?
「まあね、もう一人息子が増えたと思えば良いだけのことでしょ?」
母ちゃんも翔くんが初めて僕の実家に来た時、同じようなこと言ってた。
親ってそんなもんなのかな…
勿論、全ての親がそうではないと思うけど。
「あの…、本当に僕で良いんですか?」
AVまで出てたのに?
カメラの前で、色んな男の人に抱かれて、アンアン言ってたのに?
それでもこんな僕で良いの?
翔くんの傍にいて良いの?
「翔が選んだ子だもの、当たり前でしょ? それにさっきも言ったけど、あの子の人を見る目だけは確かだって思ってるから」
「ありがとう…ございます…」
こんな僕のこと認めてくれて…
良かった…、僕の選んだ人が翔くんで…
本当に良かった。
「さ、朝ご飯にしましょ? 沢山泣いたからお腹空いたでしょ(笑)」
確かに(笑)
「もう少ししたらお父さんもウォーキングから帰って来る筈だから」
「はい♪」
ダイニングテーブルにホカホカのご飯と、熱々のお味噌汁、それから卵焼きと、焼いた鮭を並べて待っていると、玄関の方から「ただいま」と声がして、翔くんのお父さんがウォーキングから帰って来た。