第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
あ、そう言えば…
「ねぇ、今日面接だって言ってなかった?」
それも、翔くんがずっと入りたかった会社の…、所謂“本命”ってやつ。
「ゲッ…、そうじゃん…。んだよ、今日は一日智くんと一緒にいられると思ったのに…」
いやいや、昨日も…その前の日だって、ずーっと一緒にいたけど?(笑)
でも…
僕も同じ気持ちかも。
僕も出来ることなら、このままずーっと翔くんといたい。
けど、そんなことも言ってらんないよね?
「就職したら一緒に暮らすんでしょ?」
「まあ…、すぐには無理かもしんないけど、いずれはしたいと思ってるよ?」
「でしょ? だったら、僕のために頑張って?」
“頑張って”とか、僕の気持ちを押し付けてるみたいで、本当は好きじゃないんだけどね?
「智くんの…ためか…」
「うん…」
きっと翔くんのことだから、僕のことなんか関係なくたって頑張るって信じてるよ?
でもさ、今だけは僕のために…って願うのは、僕のわがまま…なのかな?
「分かった。俺、頑張るわ」
「翔くん…?」
「だから約束して?」
何…を?
首を傾げた僕の唇に、再び翔くんの唇が重なる。
「いつになるか分かんねぇけどさ、俺、ちゃんと頑張るからさ、だから待っててくれる? 俺が一人前の大人になるまで…」
「うん、僕待ってる…」
その“いずれ”がいつになるかは、僕にも…勿論、翔くんにも分かんない事なんだろうけど、僕は待ってるから…
それに翔くんのことだから、そんなに時間はかからないような気がするんだよね(笑)
だって僕が大好きな翔くんは、いつだって完璧なんだもん♡
まあ…、寝相の悪さと、手先の不器用さを除いて、なんだけどね(笑)
ってゆーか…
「ね、時間大丈夫なの?」
僕が机の上の時計を指差すと、翔くんは急に慌てた様子でベッドから飛び降り…
「やっべ!」と繰り返しながら、部屋の中をウロウロとし始めた。
もぉ…、前言撤回!
翔くんは完璧な人なんかじゃない。
でも、僕はそんな完璧じゃない翔くんが…好きなんだ♡