第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
「ねぇ、翔くんのスマホ見せて?」
僕の見間違いじゃなかったら、あれは多分…
「ねぇ、良いでしょ?」
僕が言うと、翔くんはちょっぴりお顔を赤くして、スマホを僕に差し出した。
そこには、僕の見間違いなんかじゃなく、僕の寝顔が表示されていて…
「え、これって…」
「ごめん…、本当はさ、ちゃんとした写真撮りたかったんだけどさ、どうしても言い出せなくて、それで…」
「僕の寝顔を?」
「本っ当にごめん! 隠すつもりはなかったんだけどさ…」
翔くんが僕に向かって土下座でもする勢いで頭を下げる。
ってゆーか僕…
「あのね、僕嬉しかった…よ?」
「え?」
「だって待ち受けにしてくれてるとかさ、全然思ってもなかったから…、だから僕…」
もしかして翔くんが…って思った時、凄く嬉しかった。
ただ…、寝顔はちょっと…
確かに寝顔が可愛いって言われたことはあるけど、赤ちゃんみたいじゃん、僕の寝顔って…
だから本当は寝顔じゃなくて、もっとちゃんとした…って言っても、僕…素顔にはあんまり自信ないんだよね…
でももし翔くんが望んでくれるなら…
「ねぇ、一緒に写真撮らない?」
「え?」
「んと、それでお互い待ち受けにするの。そしたら、もし会えない日でも、お顔を見ること出来るし、寂しくないじゃん?」
そりゃさ、実際に会えるならその方が良いんだけどね?
「ね、そうしよ?」
僕は自分のスマホを取り出し、カメラアプリを立ち上げた。
でも…
「ねぇ、自撮りってどうすれば良いんだっけ?」
機械音痴な僕は、どうすれば自分で自分の写真が撮れるのかが分からない。
そしたら翔くんが、「貸して?」って僕の手からスマホを取り上げ、スイスイスイッと画面を操作してから、
「おいで?」
って僕の肩を抱き寄せた。
「撮るよ?」
「う、うん…」
って頷いたものの、自撮りなんてしたことのない僕は、どんなお顔をしたら良いのか分からなくて…
スマホの画面に写った僕は、凄く引き攣った笑顔を浮かべていた。