第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
お片付けも終わり、相葉さんが最近仕入れたばかりだというコーヒー豆を挽いてくれる。
豆にはけっこうな拘りをもっているらしい相葉さんが淹れてくれるコーヒーは、いつも美味しくて僕も大好きだ。
「HIME…じゃなかった智、カップ用意しといてくれる?」
ふふ、最近になって漸く”智”って呼んでくれるようにはなったけど、まだまだ慣れるまで時間がかかりそうね(笑)
「はぁ~い♪」
僕は棚から人数分のカップを取り出すと、それをカウンターに並べた。
でもふと思い出したんだ。
「そう言えば松本さんは牛乳の方が良いんじゃない?」
これからお仕事だって言ってたし、僕は迷信くらいにしか思ってないけど、牛乳でニンニクの臭い消えるって信じてるみたいだったし…
「ああ、確かにそうだったね。じゃあさ、せっかく出して貰ったのに悪いんだけど、冷蔵庫に牛乳入ってるから、グラスに注いどいてくれる?」
「良いけど…、それだと温くなっちゃわない?」
全員分のコーヒーが入るまで、もう少し時間かかりそうだし、直前の方がキンキンで良いと思うんだけど…
「俺もそう思うんだけどさ、常温が良いんだってさ。ほら、潤って健康オタクなとこあるからさ(笑)」
ふーん…、水だけかと思ったら牛乳も…なんて、僕には良く分かんないや(笑)
「ごちそうさまでした。それから…」
仕事に行くついでに送ってくれると言う、松本さんからの有り難い申し出を受けた僕達は、玄関先まで見送りに出てくれた相葉さんと和に向かって、揃って頭を下げた。
相葉さんは、
「気にしないで? いつでも駆け込み寺にしてくれて良いから」
って言ってくれたけど、和は…
「冗談じゃない。痴話喧嘩の度に泣きついてこられたんじゃ、こっちの身が持ちませんよ」
相変わらずの嫌味炸裂で(笑)
でも和が本気でそう思ってないってことは、和のお顔を見れば分かる。
だって口には出さないけど、”いつでもおいで”って目が僕に訴えてるもん♪