第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
「まあさ、飯でも食ってちょっと落ち着きなよ。ね?」
相葉さんがボールの中で何かをコネコネしながら言うから、僕はついついボールの中身が気になっちゃって…
「ねぇ、何作ってんの?」
「ギョーザだよ。あ、嫌いだった?」
「ううん、好き!」
ってゆーか、大好きだよ♪
だって相葉さんお手製のギョーザ、とっても美味しいんだもん。
「あ、ねぇ、ニンニク多めにしといて?」
「え、でも…」
僕が言うと、相葉さんは首を傾げた。でも僕は構うことなくニンニクのチューブを手に取ると、
「え、ちょ、ちょ、ええっ…」
相葉さんが止めるのも無視して、ボールの中にチューブを絞った。
「嘘でしょ…? 生じゃないにしても、こんなにニンニク入れたらかなり匂うけど…」
「良いの良いの♪」
流石の翔くんも、僕のお口がニンニク臭かったら、キスする気にもなんないもんね?
僕をないがしろにした罰だもん♡
「ね、早く焼いて?」
僕、もうお腹ペコペコだよ。
「はいはい…、っていうか包むの手伝ってよね」
相葉さんがコネコネしたギョーザのタネが二つのボールに分けられ、一つが僕と和の前にドンと置かれた。
勿論、ギョーザの皮も一緒に。
ってゆーか…
「多くない?」
三人で食べるにしては、明らかにタネの量も、皮の枚数だって多過ぎる気がするんだけど…
「そう? でも四人で食べたらあっという間じゃない?」
確かに…って、え?
四人…て?
「え、誰か来るの? あ、お客さん?」
だとしたらこれ以上お邪魔するわけにはいかない。
「ごめん、僕帰るね?」
僕はせっかく嵌めたビニール手袋を外すと、ソファの背に引っかけたパーカーに手を伸ばした。
「え、何で? ギョーザ食べてかないの?」
和がギョーザを包みながら言うけど、僕はいそいそとパーカーの袖に手を通すと、持ち物なんて何もないのに、自分が座っていた辺りを見回した。